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Room72  

2017.11.21

人間と魔物が仲良く暮らす

鎌倉の洋館風住宅

美術監督 上條安里

大ヒットを記録した『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズからおよそ10年――原作・西岸良平、監督・山崎貴のタッグが『DESTINY 鎌倉ものがたり』で再び実現した。ちょっと不思議な出来事が起こる鎌倉で、仲睦まじく暮らす一色正和(堺雅人)とその妻、亜紀子(高畑充希)。個性豊かなキャラクターたちが織りなすファンタジックな世界を、美術監督・上條安里さんはどのようにイメージしたのか。一色家のセットから、その仕事を読み解いてみよう。

「マニアな一色先生」の趣味を詰め込んだ部屋

一色正和と妻・亜紀子が新婚生活を送るのは、緑豊かな鎌倉。古き良きこの町では、魔物や幽霊、妖怪から仏様まで人ならざるものが人間と仲良く暮らしている。
「西岸良平さんの原作漫画を拝見すると、かなり荒唐無稽なお話だったので、映画ではそのファンタジー色を生かしながら、いかに実写としてのリアリティを持たせるかを指針にしました」
「鎌倉といえば、狭いところを抜けていく“江ノ電”の車窓風景が好きなんです」と語る美術監督の上條安里さん。今回はロケハンのため、何度も鎌倉へ足を運んだという。鎌倉界隈には大正から昭和初期頃に建てられた洋館風の家も多く、一色夫妻も「築90年の和洋折衷の家に暮らしているという設定」だ。
玄関周りのシーンでは正和の愛車も映したかったため、ガレージは閉鎖的だった原作漫画とは変えて、オープンな設計にした。

「洋館風の家の庭には、大抵シュロ、蘇鉄(そてつ)などの南国風植物が植えてあるので、一色家の庭にも立派なものを植えました。祖父も父も民俗学者だったことや鎌倉の街には魔物が徘徊しているという設定もあったので、庭に奇怪な像もいろいろ配置しています」 一色先生と呼ばれる正和の職業はミステリー作家。そのキャラクターを美術でも伝えるために、彼の書斎や趣味のものが並ぶ納戸は特に力を入れたのだという。
「一色先生は賢くて正義感が強い。しかし、一人暮らしが長かったせいか、こもりがちでマニアックな性格なんじゃないかと考えました。民俗学者の父から受け継いで住んでいるという設定もあったので、家の中にはふんだんに濃い不思議な飾りを施しています。書斎には、18世紀の聖書やアフリカの彫刻など、装飾部が、日本中のコレクターやマニアの方々から集めて来た貴重な品を。納戸には、一色先生の趣味である鉄道模型を天賞堂(時計や貴金属も扱う、鉄道模型の老舗)から大量にお借りして密度高く配置しています。とても貴重なものもあったので、撮影期間中に地震がないか、心配で怖かったです」
ミステリー作家“一色先生”の書斎。趣味の骨董品をはじめ、デスク周りには、黒電話、タイプライターから鉛筆削りまで懐かしい小道具が並ぶ。

骨董品などの小道具は、3ヶ月ほどの準備期間でおよそ数千点も用意された。“秘密の”納戸には鉄道模型や骨董品が所狭しと置かれている。

一方、一色家へ嫁に来た若き妻・亜紀子は「ポジティブで元気、でもちょっと世間知らずな女の子」。
「亜希子のものや、彼女が選んだと思えるものはなるべくカラフルにしています。コタツ布団やカーテンは可愛らしい色にしたりして、渋めの家の中で若干浮くくらいに。もともと先祖代々継がれてきた家に亜紀子がやってきたことを、美術でも分かりやすく表現したかったんです」

鎌倉っぽさを演出するために、「居間の襖には紫陽花の
絵柄を入れたり、玄関の水槽の奥に見えるステンドグラ
スを大仏柄にしたりして遊んでいます(笑)」

家の端々に作家という職業を感じられるものを配置。八角形の応接間の棚には、過去の著作物が並ぶ。

平屋ながら部屋数が多く、仕事とプライベートを両立できる暮らしやすい間取り。玄関から裏庭まで、建具をすべて開けると、気持ちの良い風が入りそうな開放感のあるつくり。

映像カルチャーマガジン・ピクトアップ#109(2017年12月号 10月18日発売) 『DESTINY 鎌倉ものがたり』の美術について、上條さんのインタビューを掲載。
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プロフィール

上條安里

jojo anri
62年東京都生まれ。85年に美術デザイン会社、サンク・アールに入社、CMなどを手がける。96年に『7月7日、晴れ』で映画美術デビュー。山崎貴監督作へは『ジュブナイル』以降数多く参加し、『ALWAYS三丁目の夕日』(05)、『永遠の0』(13)では日本アカデミー賞最優秀美術賞を受賞した。近作に『バケモノの子』『THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦』(ともに15)、『海賊とよばれた男』(16)がある。
ムービー

『DESTINY 鎌倉ものがたり』

監督・脚本・VFX/山崎貴 原作/西岸良平『鎌倉ものがたり』(双葉社「月刊まんがタウン」連載) 出演/堺雅人 高畑充希 ほか 配給/東宝 (17/日本) 鎌倉で暮らすミステリー作家の一色正和の元に、若き妻・亜紀子が嫁いできた。ちょっと不思議な怪奇現象が起こるこの鎌倉で、仲睦まじく暮らす二人。そんなある日、犯罪研究の腕を買われた“一色先生”は大金持ちの殺人事件の捜査を依頼され……。12/9〜全国東宝系にて公開 ©2017「DESTINY 鎌倉ものがたり」製作委員会
『DESTINY 鎌倉ものがたり』公式HP
http://kamakura-movie.jp
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