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Room65  

2017.4.20

不死身の男・万次の

河原での孤独な暮らし

美術監督 松宮敏之

主演に木村拓哉を迎え、破格の大立ち回りを交えて魅せるエンターテイメント大作『無限の住人』。メガホンを握るのは、『十三人の刺客』『一命』『藁の楯 わらのたて』などを手がけた監督・三池崇史。永遠の命を与えられた不死身の男・万次は、たったひとりでどの様に生きてきたのか? その暮らしの一端を描いた美術監督の松宮敏之さんに、万次の家をはじめ、劇中に登場する魅力的なセットの数々について訊いた。

万次の存在感と強さを際立たせる美術

木村拓哉演じる主人公・万次は、無限の命を与えられ、たった一人で生きてきた孤独な男。万次がひっそりと暮らすのは、町外れの河原だ。不揃いの流木で出来た小屋の周りに、焚き火や畑をこしらえて、自給自足で生活をしている。『無限の住人』の撮影は、この万次の家からスタートしたという。
「万次の家は流木と石でつくりたいと考えていました。劇中にはいろいろな場所が登場するので、ほかと似てもいけない。独特にポンとひとつ存在している、見たらすぐに万次の家だと分かるような感じにしたかったんです」
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万次が暮らす中州の奥には、漁師が生活している場所も見え
る。船小屋やよしず小屋があり、漁のための大きな網も干し
てある。

雨の日以外は外で火をおこし、薪を拾ってきては食事をつくる。食材確保のためつくった畑は「実際撮影した河原の土があまり良くなかったので、そこに畑の土を持ってきて野菜を植え直しました」。

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朽ちた色の小屋の屋根には、赤い風車が。亡き妹の忘れ形見を残している、万次の想いを反映した美術。

小屋は、万次が流木で自作したという設定。狭い空間の中にも、万次の質素で最低限の生活が表現されている。「丸太でつくった板敷きの寝床がベッド代わり。中には、様々な武器が置いてあって、磨いたり、手入れしたりもするだろうと、その道具を少し置いています。あとは食器など、ある程度の生活が想像できる、ギリギリのラインで飾りました。ただ、中は暗く、外から光が少し漏れるくらいだったので、劇中ではあまり細部までは見えないかもしれないですね」 万次は、100人斬りの伝説を持つ凄腕の剣士でもある。ある日、亡き妹に似た少女・凜(杉咲花)に敵討ちの助っ人を頼まれ、用心棒を引き受けることになる。

万次の手持ちの武器は、個性的なものばかり。すべて映画の
ためにつくられたオリジナル。敵の武器も合わせると38種も
あるとか。

「不死身の万次のほかに、敵役となる『逸刀流』の腕の立つ剣客がたくさん登場します。まずは敵方の強さを表現しなければ、万次の強さが際立たない。ですから、逸刀流の屋敷は緊張感のある、空気の違う場所にしようと思いました。
逸刀流の屋敷の中には、時代劇でよく使う火灯窓(かとうまど)の形で、大きな窓枠をつくりました。この枠が実は蛇になっていて、鱗がぐるっとまわっているようなデザインにしています。外の庭の土も真っ黒にして、木も黒っぽく。全体的にモノトーンの世界観に持っていきました」
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居間の奥にある庭は、本来は植物があふれた癒しの空間であ
るはず。しかし、ここに緑は一切入れなかった。「庭を見る
たびにどこか落ち着かない、なんだか居づらい感じがする。
そういった異様な雰囲気を演出しました」

長屋の路地や茶屋など、豪腕揃いの剣士と万次が戦う場所は様々。中でも、1人対300人の大立ち回りがある「朽ち果てた宿場町」は、京都の山奥で2ヶ月をかけて広大なセットを建てた。 「宿屋など、大小合わせて10軒ほどの建物をつくり、小さな橋や崩れかけた橋もかけて、大きな岩や祠を置いたりもしました。時間はかかりましたが、だんだんと宿場町が出来上がっていくのを見るのは、やはり面白かったですね。時代劇では、何もないところにいちから生活をつくり始めることも多い。そういう意味では、スタートは自由さがあると感じます」

宿場町はあらかじめミニチュアをつくって、スタッフとイメ
ージを共有できるようにしたのだとか。建物は外と中、両方
で立ち回りができるよう、細部までつくり込まれている。

川の中州にある小屋とその周辺も含めた場所が万次の生活空間。簡素なワンルームとも言える小屋が寝室。焚き火と水瓶のあたりがキッチンといったところ。外にある大きな流木は、万次が武器を使って訓練する際のマト。魚を釣る桟橋も万次の手づくり。

映像カルチャーマガジン・ピクトアップ#106(2017年6月号 4月18日発売)
『無限の住人』の美術について、松宮さんのインタビューを掲載。
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プロフィール

松宮敏之

matsumiya toshiyuki
和歌山県生まれ。94年『新・極道の妻たち 惚れたら地獄』で美術監督デビュー。おもな作品に、『わが心の銀河鉄道 宮沢賢治物語』(96)、『千年の恋 ひかる源氏物語』(01)、『魔界転生』(03)、『男たちの大和 YAMATO』(05)、『ホームレス中学生』(08)、『桜田門外ノ変』(10)、『幕末高校生』(14)、『この国の空』(15)がある。
ムービー

『無限の住人』

監督/三池崇史 原作/沙村広明 出演/木村拓哉 杉咲花 福士蒼汰 ほか 配給/ワーナー・ブラザース映画 (17/日本/141min) 妹を失い、生きる意味もなくなった万次。しかし、突然現れた謎の老婆に無理やり無限の命を与えられ、不死身の男となってしまう。ある日、たったひとりで永遠を生きていた万次の前に、亡き妹に似た少女・凜が現れ、敵討ちの助っ人を頼まれる。
4/29〜全国公開 ©沙村広明/講談社 ©2017映画「無限の住人」製作委員会
『無限の住人』公式HP
http://wwws.warnerbros.co.jp/mugen/
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