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Room46  

2015.9.11

それぞれの“漫画道”を詰め込んだ

少年漫画家・サイコーとシュージンの仕事部屋

美術監督 都築雄二

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『モテキ』などで知られる大根仁がメガホンをとり、ジャンプで連載を目指す少年二人が、夢に没頭していく姿をエネルギッシュに描いた映画『バクマン。』。主人公のサイコー(真城最高=佐藤健)とシュージン(高木秋人=神木隆之介)が、その青春のすべてを捧げる仕事部屋には、「友情」「努力」「勝利」+「恋」が詰まっている。美術監督を務めた都築雄二さんは、漫画道を極めたこの空間を、どのように生み出したのだろうか。

漫画愛と人間愛に溢れた映画美術

サイコーとシュージンが漫画を描く仕事部屋を、「原作に忠実につくろうと思った」と語る美術監督の都築さん。台本を読んでからずっと探していたのは、「窓からサイコーが漫画を描いている姿が見え、その建物の向こうに街が広がっている」という画が成立する場所だった。 「二人が住んでいる街は架空で良かったんです。この作品には、ジャンプ編集部という決定的なリアリティのある場所がある。『ジャンプVSサイコーとシュージン』という構造のお話だから、仕事部屋は細かく説明する必要がない。逆に編集部はしっかりしていないといけないので、リアリズムを追求しました」
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漫画を描くサイコーの向かいに、シュージン。サイコーの右
手後ろには、叔父が“居る”ように、川口たろうグッズを並べ
たコーナーが。

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「鍵になるのは、おじさんが描いた漫画の歴史、古い原稿などが入っているクローゼット。サイコーが漫画を描く位置からは、その場所が見えるんです」。この配置からだけでも、登場人物の関係性が浮き上がってくる。

部屋の中にあるほとんどが漫画だったため、色味をつける選
択肢はあまり残らなかったという。「意外と赤が多かったり
して、漫画の色がそのまま部屋のディテールの色になりまし
た」

もとはサイコーの叔父である川口たろうの仕事場だったこの部屋。彼のパーソナリティを表現したのが大きなデスクの後ろにある本棚だ。 「川口たろうを誰に例える?と言ったら監督の大根仁さんかなと。だから、大根さんの漫画をそのまま持ってきて本棚に並べました。いろいろ混ぜるのが嫌だったので、小物も大根さんのもの。この話は漫画道だから、一人の漫画史がそこにありたかった。要は大根さんの漫画史ですね(笑)」

やがてこの部屋は、サイコーとシュージンに受け継がれ、彼らの仕事部屋へと変わる。その変化はどう加えていったのか。 「一言でいうと、“混乱”。最初は叔父のものを引っ張り出して二人は興味津々だったけど、そのうちそれすらもどうでも良くなって自分の漫画の世界へ没頭していく。二人の性格を美術で分かりやすく表現しなかったのは、すでに原作漫画にムードがあったから。若干の悩みとしては、好きな女の子のために漫画を描くというひとつの動機だけで、生身の人間がここまで頑張れるのか?と(笑)。50歳を過ぎて、その感情を理解するのが最も苦しい所でした(笑)」

ベランダから部屋の中はセットでつくられた。外観を撮影し
た建物の外壁、窓枠などをそっくりそのままセットで再現し
、光の方向や映り方を決めてテスト、カメラと撮影対象との
角度や距離も検証して撮影した。ベランダ外からのカットは
、そのセットで撮った画を実際の外観の画にはめ込んで合成
している。

映画には個性的なライバル漫画家たちも登場する。それぞれの仕事場のシーンは少ないため、分かりやすく表現したという。 「イメージ画を描くときは、そのキャラクターが座る姿勢から描いていきました。畳の部屋で裸になって描くとか、部活みたいにアシスタントと輪になって描く、とか。 二人のライバルであるエイジ(染谷将太)は半地下みたいな場所に、ポンと上から光があたるような部屋にしようと。自分の漫画だけで生きているような子だから。大きな紙に絵を描いたのは、漫画に囲まれているようにして、彼のキャラクターが部屋をわーっと走り回っているようにしたかったからです」
エイジの部屋

天才高校生漫画家にして、サイコーとシュージンの最大のラ
イバル・新妻エイジの仕事部屋。「ジャンプ=漫画愛」のイ
メージから、自らの漫画だけに没頭しているエイジの部屋に
は、ほかの漫画は置かず、自分の描いた絵だけに囲まれてい
るという環境にした。

平丸の部屋

グラフィックデザイナーを辞めてギャグ漫画家へと転身した
平丸(新井浩文)。「わざと建築家的な要素を入れたり、囲
まれている感じをより出す為に水槽で周りを囲んだりしまし
た。水に囲まれてキュッとなっているようなイメージ。意外
とロンリーな男なんです(笑)」

福田の部屋

ヤンキー漫画が得意な福田(桐谷健太)の部屋。「コンセプトは“部活”です。運動部というよりも、虐げられた文化部。『やってやるぜ!この野郎!!』っといった感じにしたかった。最初はもっと飾っていたのですが、激し過ぎるからとちょっと減らしたくらいです。

中井の部屋

15年間アシスタントを続けてきた苦労人の中井(皆川猿時)。そのイメージは「ズバリ、トキワ荘。畳に座卓、リスペクトする漫画もときわ荘の住人たち(手塚治虫、藤子不二雄、石森章太郎など)の作品です」。

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広い空間を巧みに使い、キャラクターたちの動きや役割を見事に取り込んだ配置。クローゼットからトイレに続く一角には棚を並べ、廊下のように見立てた空間が。原作からあえて修正をした部分で、都築さん曰く「漫画の細道」。両脇の棚には数多くの漫画が並び、その場でのシーンは漫画家が辿る運命が表現されている。こちらは是非劇場で確認してほしい。

映像カルチャーマガジン・ピクトアップ#96(2015年10月号 8月18日発売)
『バクマン。』の美術について、都築さんのインタビューを掲載。
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プロフィール

都築雄二

tsuzuki yuji
62年愛知県生まれ。96年『月とキャベツ』で美術監督デビュー。おもな作品に『四月物語』(98)、『恋の門』(04)、『セイジ 陸の魚』(12)、『謝罪の王様』(13)、『宇宙兄弟』(14)など。『PARTY7』をはじめ、ほとんどの石井克人監督作に参加している。映画、ドラマ、CMと幅広く活躍。16年の公開待機作に、李相日監督の『怒り』がある。
ムービー

『バクマン。』

監督・脚本/大根仁 原作/大場つぐみ 小畑健(「バクマン。」ジャンプ・コミックス/集英社刊) 出演/佐藤健 神木隆之介 染谷将太ほか 配給/東宝 (15/日本/120min) 高い画力のある最高は、物語を書くことに長けている同級生の秋人に漫画家になろうと誘われる。漫画家だった叔父を想い、1歩を踏み出せずにいた最高だが、片思い中の亜豆との約束を機に、コンビを組むことを決意。週間少年ジャンプの頂点を目指し動き始める! 10/3~全国公開 ©大場つぐみ・小畑健/集英社 ©2015映画「バクマン。」製作委員会
『バクマン。』公式HP
http://bakuman-movie.com/
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