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Room40  

2015.3.13

100%自給自足の田舎暮らし

お金恐怖症のタケの住まい

美術監督 岩本浩典

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『恋の門』から10年、主演に松田龍平を迎え、松尾スズキがメガホンをとった『ジヌよさらば〜かむろば村へ〜』。ジヌ(銭)を1円も使わず、山奥の小さな村で生きていくことを決めた主人公・タケと、気はいいが、ひとクセもふたクセもある村人たち。個性溢れる人々が織りなす、リアルでちょっとファンタジックな日々の物語。美術監督の岩本浩典さんは、タケの無鉄砲な暮らしぶりと、のどかだがどこか怪しげな雰囲気の“かむろば村”をどのように作りあげたのか?

1円もお金を使わない生き方を描く

 主人公・タケ(松田龍平)は、お金に触るだけで失神してしまうほどの「お金恐怖症」。都会では暮らすことが出来ず、過疎化の進む山奥の“かむろば村”へと引っ越してくる。住まいは、「100万円で購入したボロ家」だ。
「撮影でお借りした古民家にあった囲炉裏はそのまま活かしました。神棚ももともとこの家にあったものだけど、これはたしか台本にはなかったんじゃないかな? 松尾スズキ監督は、現場でわいたインスピレーションで、セリフや芝居を変える方。その場その場であるものはどんどん活かしていらっしゃいましたね」

【BEFORE】装飾をする前の部屋。室内は当初のイメージより広く、床の畳もサイズが合っておらず、芝居をするには使いづらい状態だった。

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【AFTER】床には新しい畳を少々強引に切ってはめ込みゴザ
を敷いた。引っ越した後は、家具などを並べ、広い部屋を狭
く見せている。

信頼する松尾監督のもと、実力派の俳優陣が揃った今作では、「キャラクター“らしさ”を美術で主張する必要はないと思った」というが、部屋の各所には岩本さんの細やかな工夫が凝らされている。 「柱周りにはところどころ美人画を貼りました。前の住人が貼ったのかも、と感じられるくらいに。タケは、お金がないのに、性には貪欲ですから(笑)、なんとなくそういう雰囲気が伝わるといいかなと。あとは、古民家に馴染まない物を少しだけ置いて、町の外から来た人の生活がちらりと感じられるように。雑然とした部屋だとものが溢れている印象になってしまうので、ものはひとつひとつぽつんと置いて、几帳面になりすぎないようにしました」
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家の外観は、室内を撮影した家とは別の建物。2014年5月からの撮影に備えて、1、2ヶ月前に準備のため現場に行った際の様子。「残雪がけっこうあって、撮影までに溶けるのか心配していたのですが、撮影時は驚くほど緑が育ってくれたので良かったです」。

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家の前には、いちから土を掘り起こして作ったという小さな
畑が。「すごく土が柔らかくて、ミミズも出てきた。結構
肥えていて、サクサクほれました(笑)」。

タケの家はもちろん、のどかな田園風景や、不思議な天然露天風呂まである、かむろば村の撮影は、福島県柳津町で行われた。 「守り神の“おがむろ様”は、この村の象徴的な存在。当たり前のように置いてあるのに、何か違和感を感じる。最終的に作品を引っ張っていく存在にしたかったんです。最初は、山の入り口やお風呂に置くだけのつもりでしたが、最終的には、町の入り口など、いろんな場所に登場しています(笑)。劇場で是非探してみてください」

自他ともに認める村の“神様”なかぬっさん(西田敏行)の、桃源郷のような天然露天風呂。撮影では、実際にある旅館の露天風呂を借りたのだとか。撮影しやすいように足場を作り、コンクリートが見えてしまう部分は草や石を置いて装飾し、まるで森の中にある秘湯のような空間に変身させた。

村の公共移動手段は、村長(阿部サダヲ)が運転するマイクロバス。

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猫らしき姿をモチーフにした“おがむろ様”は、松尾監督の希
望で、原作よりリアルさのある造形に。

家の中のシーンを撮影した古民家は天井が高く、空間も広い。襖を隔てて隣に和室もあるが、別の建物で撮った外観との統一感を出すために、使用出来ない設定にしている。劇中のタケの生活では水回りの設備はもちろん使わないので、間取りの台所、お風呂は、家にもともとあったであろう想定の位置。

映像カルチャーマガジン・ピクトアップ#92(2015年4月号 2月18日発売)
『ジヌよさらば~かむろば村へ~』の美術について、岩本さんのインタビューを掲載。
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プロフィール

岩本浩典

iwamoto hironori
80年岐阜県生まれ。日活芸術学院で、木村威夫氏に学んだことをきっかけに映画美術の世界へ。美術監督・安宅紀史氏に7年師事し、オムニバス映画『ハヴァ、ナイスデー』(安里麻里監督「夕凪」)で、美術監督デビュー。『リアル鬼ごっこ』シリーズ3~5に参加。近作に、『ノーコン・キッド~僕らのゲーム史』(13・テレビ東京)、『味園ユニバース』がある。
ムービー

『ジヌよさらば~かむろば村へ~』

監督・脚本・出演/松尾スズキ 原作:いがらしみきお『かむろば村へ』/小学館 ビッグコミックススペシャル刊 出演/松田龍平 阿部サダヲ 松たか子 二階堂ふみ 西田敏行 配給/キノフィルムズ(15/日本/121min) 1円もジヌ(銭)を使わない生活をするべく、小さな寒村・かむろば村へやってきたタケ。無鉄砲な計画ながら、なんとか奮闘して生活をはじめたが、彼を見守る村人たちは、なんだか妙な顔ぶればかりなのだった。4/4〜新宿ピカデリーほかにて全国公開 ©2015 いがらしみきお・小学館/『ジヌよさらば~かむろば村へ~』製作委員会
『ジヌよさらば~かむろば村へ~』公式HP
http://www.jinuyo-saraba.com/
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