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Room35  

2014.11.14

人間らしい暮らしに“パラサイトのセンス”をプラス

新一と“ミギー”が共存する部屋

美術 佐久嶋依里

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累計1,200万部を突破した岩明均の人気コミックを、山崎貴がメガホンをとり実写化した『寄生獣』。傑作との呼び声高い原作の世界観を、VFXを駆使し見事なエンターテイメント作として完成させた。林田裕至さんとともに共同美術で参加した佐久嶋依里さんは、主人公の泉新一と母親が暮らす一軒家を手がけた。右手にパラサイト“ミギー”を宿した新一と、母親・信子との暮らしを、どのように形にしていったのだろうか?

アースカラーを効かせてモダンな雰囲気に

物語の舞台は東京某所。パラサイトに失敗した寄生生物を右手に宿してしまった主人公・泉新一(染谷将太)は、やむなくその右手に宿った、自らを“ミギー”と名乗るパラサイトと共存しようとする。母親とのふたり暮らしをするこの家は、もとは母の実家。おじいさんの書斎だった部屋を新一が使っているという設定だ。
「原作の新一の部屋は机とベッドだけでしたが、パーソナルな部分がもっと出てくるとおもしろいなと思ったので、原作と切り離してセットを考えました。だらしなかった新一が、段々パラサイト化していく展開なので、最初は部屋を散らかして、ぐずぐずしている感じを出したかった。コタツを置いたらどうかな?と、山崎貴監督に提案したら気に入っていただけて。もうワンポイント場所が出来たことでお芝居も広がって良かったです」

恐竜の化石標本のフィギュアやペットボトルのおまけ、ヘッドフォンやぐしゃぐしゃになったコードは、男の子っぽさを出すための細やかな飾り。

新一の「何に対しても広く浅く手を出している性格」を表現するため、漫画は全巻揃えず種類を豊富に、CDもバラバラと少しだけ置いたりしている。
「部屋のベッドカバーやラグなどは母・信子の趣味で集めた物の一部として色や質感を選んでいるので、若者の生命力を感じるような原色は省きました。新一を演じる染谷君は若者であるけれど、良い意味で老成している雰囲気を感じたので、そんな部屋も似合うのではないかと思いました。この部屋にCGで入ってくるミギーが、うまく空間に馴染んでくれるか心配でしたが、雑多なところに異物が入ってきて意外といい感じになったと思います。白組(今作のVFXを手掛けた制作会社)さんの力が大きいですね」

外観は山崎監督がプレロケハンで見つけた鎌倉の一軒屋カフェで。門柱を少し変えて、塀にツタをつけるなど、手を入れて撮影した。

キッチンから廊下の向こうが抜けて見えるように、ドアはガ
ラス戸に。矢羽のような形の「ヘリンボーン」にしたのは、
山崎監督のこだわり

キッチンの建具や作り付けの棚はすべて木製。コンロはビルトインでなく、下にオーブンのついている古いタイプに。ものが多いわりに、すっきりとおしゃれに見えるポイントは、ものを詰め込みすぎないことと色味を抑えること。1階部分のファブリックには少しくすんだ色のアースカラーを使って、昭和モダンな雰囲気に。
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キッチンでは、食器も同じものを多く揃えず、いいものを少しずつ買い足していった感じを出した。籠や調理道具なども、長く丁寧に使っている雰囲気を演出。

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統一感のあるソファセットは様々な種類を集め、色味にこだわってチョイス。床はあえてカーペットにし、壁には繊維の壁紙を使用した。

「私の勝手な設定なのですが(笑)、お母さんは昔インテリアの勉強をしていて、夫が亡くなってからひとりで息子を育てるためにかなり苦労をして薬剤師になったんじゃないかなと。息子に対する過保護な感じも出したかったので、浴室のシャンプーやキッチンの洗剤は無添加のものにしました」
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もともと母の実家だったという設定。ふたり暮らしの一軒家にしては、全体的に一部屋ずつが広い作りになっている。二階部分の新一の部屋は母・信子の部屋の真上にある。

映像カルチャーマガジン・ピクトアップ#91(2014年12月号 10月18日発売)
『寄生獣』の美術について、佐久嶋さんのインタビューを掲載。
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プロフィール

佐久嶋依里

sakushima eri
77年愛知県生まれ。『ハンサム★スーツ』(08)などでの美術助手経て、11年『高校デビュー』で美術監督デビュー。林田裕至氏と共に美術を手がけることも多く、おもな作品に『悪の教典』(12)、『喰女─クイメ─』(14)がある。『荒川アンダー ザ ブリッジ THE MOVIE』(12)は美術デザイナーとして参加。
ムービー

『寄生獣』

監督/山崎貴 原作/岩明均 出演/染谷将太 深津絵里 阿部サダヲ ほか 配給/東宝(14/日本) 突如海から現れた謎の寄生生物。それは人間の脳を奪い肉体を操り、人間を食べて生きる——。しかし、高校生の新一だけ、脳を奪うことに失敗したパラサイトが右腕に宿ってしまった。自らを“ミギー”と名乗るパラサイトと、奇妙な共同生活を送っていたあるとき、他のパラサイトたちが現れ始める。11/29〜全国東宝系で公開 ©映画「寄生獣」製作委員会
『寄生獣』公式HP
http://kiseiju.com/
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