Room27  

2014.3.7

住まいの近くにパワースポット!?

摩訶不思議な力を持つ日出家が暮らす琵琶湖畔の城

美術監督 原田恭明

太古から摩訶不思議な力を継承して来た日出(ひので)家と、そのライバルである棗(なつめ)家との争いを、笑いを織り交ぜながら、ファンタジックに描いた『偉大なる、しゅららぼん』。主人公の日出淡十郎(濱田学)と涼介(岡田将生)が暮らすのは、江戸時代から現存する城! 万城目学の原作同様、琵琶湖畔の街を舞台に、美術監督の原田恭明さんは、その奇想天外な住まいをどのように表現したのだろうか。

部屋の対比を鍵に、キャラクターの個性を表現

日出家の一族が暮らす城が撮影されたのは、滋賀県にある国宝・彦根城。「普段はなかなか撮影する機会がない」場所につくられた、貴重な“住まい”だ。物語は、この日出家に不思議な力の修行のため、涼介が引っ越してくることから始まる。

畳廊下の襖を開けると現れる、豪華な日本庭園。
実際に撮影された、彦根城博物館にある“御座の御間”は見学
することも出来る. 詳しくは・・・彦根城博物館HP
http://longlife.city.hikone.shiga.jp/museum/

「涼介の部屋には、彼を驚かせるという“役割”があります。廊下を何度も曲がってやっとたどり着く広い一室。『ここに住め』と言われ、部屋の襖を開けると広い日本庭園が見える。そこで『完全にお城の中なんだ!』と気付くんです」 彦根城内の一部の復元家屋を借りて飾り込んだという部屋は、とにかく広い和室の一角に、カーペットを敷きベッドを置いて、和室に馴染みのない現代の普通の高校生らしさを表現。

涼介が引っ越してくる前のレイアウト。ふた間を使ったゲストルームのような広い和室で、家具のレイアウトを変えて暮らしやすい様にアレンジしていった。

平凡な涼介とは対照的に、日出家の跡取り・淡十郎のアトリエは奇抜に仕上げ、最強の力の持ち主であり、街の人からも崇められる、生まれながらの“殿”<キング・オブ・キング>というキャラクターを反映させている。 「このアトリエの一番大きな要素は“赤”でした。この空間は、観客が最初に観た時に『コイツはちょっと変だぞ』と感じる掴みにもなる。淡十郎は、学生服もオートクチュールの赤い制服を着るくらい「赤」が好き。ですから、部屋の中も赤色に重点を置きました」。アトリエの装飾からは、淡十郎の“美しさ”に対するこだわりも感じる事が出来る。

淡十郎のアトリエ。室内には要所要所で赤を効かせ、絵を描くことが好きで、彼の作品にも赤色を多用している。

城内の一角にある涼介の部屋。部屋と同じくらいの広さがある畳廊下に、納戸、広大な庭と、豪邸の域を超えた贅沢ぶり。淡十郎のアトリエは、離れのような場所。この建物はアトリエとしてだけ使用しているという設定。

映像カルチャーマガジン・ピクトアップ#87(2014年4月号 2月18日発売)
『偉大なる、しゅららぼん』の美術について、原田さんのインタビューを掲載。
プロフィール

原田恭明

harada yasuaki
59年愛知県生まれ。フリーの美術助手を経て、87年『シャコタン☆ブギ』でデビュー。『クヒオ大佐』(09)、『GANTZ』シリーズ(11)、『貞子3D』(12)、『ガッチャマン』(13)など、数多くの話題作に参加。映画だけでなく、CMも多数手がける。『MONSTERZ モンスターズ』が5月30日公開。
ムービー

偉大なる、しゅららぼん

監督/水落豊 原作/万城目学 出演/濱田岳 岡田将生 深田恭子 渡辺大 貫地谷しほり ほか 配給/東映 アスミック・エース(14/日本/114min) 琵琶湖から授かった不思議な力を代々伝承してきた一族・日出家。その本家に、力の修行のためやって来た分家の涼介(岡田)は、跡取りである最強の力の持ち主・淡十郎(濱田)と出会う。ふたりは、いつしか「殿」と「供」の関係になり……3/8〜全国公開 ©2014 映画「偉大なる、しゅららぼん」製作委員会  ©万城目学/集英社
偉大なる、しゅららぼん公式HP
https://www.asmik-ace.co.jp/lineup/2156
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